アイデンティティは、自分でつくる。

日本経済新聞のエース記者、後藤達也さんが日経テレ東大学で、高橋弘樹さんの「なんで仕事辞めたんですか?」の質問に「人生全体のリスクを軽減するため。」と答えていた。

40代働き盛りで、高い年収をもらっているのに、会社を辞めて「年収がゼロになる恐怖はなかった?」と聞かれて、「目先にお金があったとしても、その裏側で自分の価値はそれ以上に落ちているかもしれない。」と。それを茹でガエルに例えていた。今は熱くなくてもう少し、もう少しと同じ場所にいると、いつの間にか沸騰していて、息絶える茹でガエル。

1 年でものごとに大した変化は無いけれど、10 年したら世の中は劇的に変わっているかもしれない。10 年経ったら自分の対外的な価値、世の中のビジネスの環境がガラッと変わるかもしれない中で、お金などの不安があるからと、決断を先延ばしにしていると、60 歳で気づいた時には遅いかもしれない。現実的なシナリオを考える場合にあえて飛び出す、という彼の読みと判断。

同じく「なんで会社辞めたんですか?」で、57歳でJAXAを退職した野口聡一さんも定年退職のリスクを話していた。

人間は社会的な生き物で、他者との繋がりにおいて自己のアイデンティティを築き上げている。その多くは会社に依存していて「自分とは何か?」をつくる糸のかなりの部分が、会社から来ている。その糸を断ち切って、「自分は何ができるのか?」を突きつけられるのが退職経験。

その日を境に名刺、電話番号、メールアドレスが無くなり、いつも通っていた場所に入れなくなる。そして、これまで培った人間関係が無くなる。それを定年の60歳、65歳で経験して、そこから新しい人生を始めるのは苦労する。そうなる前に、ひとりでアイデンティティを築く、「自分の価値観を会社に決めさせない。」という彼の見解。

「会社=アイデンティティ」ではなく「自分(の仕事)=アイデンティティ」。

人生100年時代と言われる世の中で、会社で人事評価を積み上げて60歳で終わって、なにも残らないで、残りの人生を過ごすことを考えると、今辞めて、いろんな経験をし、人脈を広げて、自分ができることを見つけておく、と後藤達也さん。

それが難しいんだけどね。いつか、個人事業主をやってみたいと思っている。人生の帰路に立つと、必ずそれが頭をよぎる。そこから見える景色を見てみたい。だけど、全てを自分で背負うのは、怖い。

後藤達也さん曰く、フリーランスは自由で、やりたくない仕事は断れる。何をやるのかを自分で選べるのが醍醐味だけど、全ては自己責任。実力があって、勢いのある彼の言葉を聞いていると、なるほどと思うけど、いざ、自分を省みるとね。

前職のボスの影響で、一時は真剣にやろうとしたことがあった。でもそれは、少しずつでも上がっていくことが必須で、さらには、それを継続しないといけない。ここまで考えて、ふと、DaiGoさんの言葉が思い浮かぶ。人は「苦労する自由」より「快適な支配」を好む。今回も、ここに落ち着く。

確固たるアイデンティティが必要だけど、いつもアイデンティティは揺らいでいる。これからも、少しはどこかに所属している自分、というアイデンティティを選択していくのかな。今は何者でもない私。

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