いよいよ再就職、中小企業というところ

ある貿易系の会社に再就職した。ボスは私と同い年のやり手だった(と思っていたけど、実際はわからない)。従業員 30人ほどの中小企業というところ。メキシコとの事業を始めたということで、担当になった。メキシコへ出張にも行き、最初は満足していた。

メキシコシティー。サンミゲルとは違って事件は日常茶飯事らしい。日系企業もたくさんあって、そこのトップが外出するときは、護衛のために 4、5 台の車列で移動するそう。取引先のオーナーは、子どもの頃、学校に親より先に来た誘拐犯に連れ去られて、身代金 10万円ほどを要求されたらしい。10万円のために誘拐って、気軽に重大犯罪を犯すのね。

メキシコのオタクイベントにも参加した。巨大なイベント会場で、コスプレの本気度がすごい。日本のオタクの人たちもこんな感じなのかな。アメリカのコミックや映画のキャラクターが多く、日本のものを扱うところが少なかったので、日本の商品は人気が高かった。関税がもう少し低ければ独占できそう、と素人ながらに思ってみたり。

ある時の出張で、帰国前日に行った洞窟の中のレストラン。どんな食事だったかは覚えていないけれど、メキシコのインテリアと音楽、照明が幻想的で素敵だった。帰りの飛行機でなんだか背中が痛い、気のせいかなと思っていたら、翌日腹痛になる。放っておけば治るだろうと思っていたら、帰国から 2 日目の朝、背中とお腹に激痛が走り、目が覚める。

冷や汗が出て、うずくまって起き上がれない。仕事を休んで病院へ行ったら、「外国の水に当たった場合は、抗生剤を飲まないと治りませんよ。」と。そんなこと知らなかった。飛行機の中じゃなくてよかった。洞窟レストランの水、浄水じゃなかったのね。あのサラダかな。

テキーラの買い付けに、テキーラ村の蒸溜所に行ったこともあった。原料のアガヴェが成長するのに約10 年。その根の部分を使ってテキーラを絞る。テキーラは、ドライなものをショットで飲むイメージが強いけれど、熟成させたテキーラは香り高い。この出張では、ついでに休暇をくれたので、サンミゲルへも足を伸ばす。オアハカに行きたかったけれど、遠かった。

振り返れば、おもしろい経験をたくさんした。一方で、憧れていた出張の大変さを知った。多いときで月に 3 度の出張だと、ずっと時差ぼけ。なにより、現地の人たちと仕事をする大変さを身に染みて実感した。

大企業に比べて、社内のシステムが構築されていないので、働き方が大変だった。ボスは、頭が切れる人だったけど、事業を少しずつ広げていくうちに、あるとき雲行きがあやしくなった。自分で事業をするって大変なんだなと近くで感じた。いつか個人事業主になりたいと思っていたけれど。

働く仲間、全員が従業員という環境がいい。そこにボスがいると、働きにくい。ボスがピリピリしていたら、それがみんなに伝わってみんながピリピリする。そして、同じ熱量で働くことを求められる。それにしたら、対価が見合っていない(時間外が多すぎる)。

他の会社はわからないけれど、私がいた会社は間違いなくブラックといわれるところ。そういうところに当たってしまった。彼は、寝ないで会社のことばかり考えていて(経営者とは、そんなもの?)夜中もどんどんメールが入る。携帯の着信音をオフにした。夜も長いのに、朝も早いから。

ある出張の日の朝、40℃ 近い熱が出た。前日も夜遅くまで仕事して、朝起きてなんか変だと思ったら。ボスに連絡すると「空港まで送るから、とりあえず飛行機乗って。航空会社の人にも伝えておくね。」鬼だ!この日は上海だったので、とりあえず乗ったら、CA の方がシート 1 列を使って、ベッドをつくってくれて、市販の薬とポカリを持ってきてくれた。

入国してタクシーで、教えてもらった病院へ向かう。到着してみると、いるはずの通訳がいない。高熱があることを伝えると、診察のあと解熱剤を出してくれた。(この数年後、上海に住むことになって、静安区の復旦大学付属崋山病院を見たとき、あっ!とこのときの記憶がよみがえった。)

その日の夜、熱が下がる。部屋は、南京東路の高層階だったので、夜景が本当にきれいだった。2、3日して上海は春節に入った。街は花火と爆竹で、何事かというくらいの音と光。そして、取引先社長の結婚式。タレントのように豪華な式だった。式場の一番前からは後ろが遠くて見えない。

隣の方が取り分けてくれたスープ、スッポンの手がニョキッとのぞいている。平静を装っていたけれど、食べようとしたら体が震えて、声まで出てしまった。気持ち悪すぎて。それに気付いたお隣さん、笑いながら交換してくれた。不思議だよね、鶏の足なら平気なのに。当日は、ボスも出席。この出張、私の必要があったのだろうか?

いろんな経験をして、楽しいことがあった分、大変なことも多かった。次は大手企業がいいなと思った。そろそろかな。このあと、人生の休憩でイギリスへ行くことになる。

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