サンティアゴ・デ・コンポステーラ

スペインに来て、かれこれ2週間が経とうとしていた。友人も来客に疲れているかな。サンティアゴ・デ・コンポステーラへひとりで小旅行に行ってみよう。電車で約1時間。キリスト教信者巡礼の聖地。ローマ、エルサレムと並んで三大巡礼地。

巡礼者の多くは、フランスから徒歩でピレネー山脈を越えて、聖ヤコブの眠るサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂に礼拝する。巡礼路は世界遺産になっているらしい。

街には、バックパックとトレッキングシューズの巡礼者が続々と到着していて、あちらこちらでリラックスした表情で談笑している。いろんなコースがあって、人気のコースは約1ヶ月間、歩くらしい。フランス映画「サン・ジャックへの道」でこの巡礼の旅を見たことがある。

宿では韓国の人たちもたくさん見かけた。クリスチャンが多いからね。旅を終えた彼らがテントやトレッキングシューズを部屋のゴミ箱に捨てると、ヨーロピアンが「こんなの捨てるのかよ」と言いながら拾う光景をいくつか見た。古くても良いものを大切に使う文化の人たちにとって、アジアの「使い捨て文化」は信じ難いよね。

街や大聖堂を散策した後、イビザから来ている人と宿で話し、今夜大聖堂のミサ、香炉の儀式があるから一緒に行こう、と誘われるまま夕方になって大聖堂へ。

金曜日の夜の礼拝に合わせて巡礼者が街に到着しているらしい。大聖堂の中に入ってみると、昼間の様子とは一変。バロック調の豪華な祭壇が照明でより荘厳な雰囲気。ベンチは満員。長い歴史の中で多くの国と人々の心を支配してきた、宗教という未知の世界は、自分が外国人であることを感じさせる。

一方、彼はすれ違ういろんな人にハーイと挨拶していた。みんな同じペースで歩いていた人たちらしい。彼の巡礼仲間を紹介してくれる。皆で大聖堂の中のベンチに腰掛けて話した。

イタリア人の女性が一緒に旅したかのようにとてもフレンドリーで、人と人の壁がない。ヒッピーな格好の彼女はとても信心深い。

中に裸足の男性がいて、オージーだろうなと思ったら、やっぱりそうだった。シドニーから来た医者だった。石畳の街でさすが勇気あるね。国籍はいろいろだったけどみんな一緒に乗り越えた一体感があった。

私は今日、電車で観光に来た「なんちゃって」なのに、1ヶ月間歩いた巡礼者に混ざって、こんな感動的なミサに参加できるなんて。なんてラッキー。

滑車に吊るされた大きな香炉が大聖堂の中を振り子のように往復する。ボタフメイロというらしいが、なんとも神聖な儀式だった。

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