人生の休憩Season2・イングランド

ふと、思い浮かぶ

友人の結婚式のため、勤務していた会社で2週間の休暇を申請していましたが、ずっと悶々としていたある日のこと。せっかくフランスまで行くのに2週間で戻るのはもったいない、もう3年経つし、そろそろ、、と頭をよぎりました。

そのときに勤めていたのは、就業時間を気に留めない今で言うブラック企業でした。そろそろ、と思い始めたときには、すでにコトも思考もそちらに向かっていました。退職。退職して友人の結婚式の後、人生で一度は住んでみたかった場所、イギリスに行こう、と。

フェリーでドーバー海峡

海の見えるところで育ったので、やっぱり日常に海が見えると安らぐという理由で選んだ場所はブライトン。友人の結婚式で1ヶ月ほどフランスに滞在した後、バスでブライトンへ向かうことにしました。友人夫妻がチケットの準備とバス停で見送りをしてくれて、夜中のバスで出発。時間的に、同じバス停から乗り込む人のほとんどがバックパックを背負った旅人。途中、何箇所か止まって、人が乗り込むけれど、車内は真っ暗で何も見えません。

眠っていると、ふと、車内がざわつき、どうやら国境についた様子。ずっと渡ってみたかったドーバー海峡。窓の外は、やっぱり真っ暗で、見えるのは、通関のための建物のみ。港にあるその建物の荷物検査場、出国審査場、入国審査場を順番に通って行くのだけれど、記憶では、それぞれの建物の間は外を通る簡易なつくり。各自で荷物をバスから下ろして、検査場に行くらしい。

出国審査前、バスの中の電気がついて初めて乗客の様子が分かった。私の隣は風呂敷に包んだ大きな荷物を膝に乗せたブルカを着けた女性。眠い目を擦りながらバスを降りてみると、同じバス停で乗り込んだバックパッカーの人たちの数は、ほんの一握り。想像とは全く違った車内の客層。夜中のバスなのに子供をたくさん連れた家族がいくつかあった。時間帯とか寝起きというせいもあるけれど、どことなく不気味な気がした。

と思っていたら、ひと騒ぎ。

おっおっぉっ!みんな離れて!と、バスの荷物入れを開けた職員の声。なんと男性二人がバスの荷物入れに潜り込んでいた。荷物に挟まれるように横になった二人の姿が懐中電灯で照らされた。ゆっくり起き上がり、中から出てきた二人はどこかへ連れていかれた。

大英帝国への密入国。私まで凍りついた。法を犯してまで、何かを求めて、一か八かで試みたはずなのに。それにしたら計画が安易な気もするけれど。もしくは、地続きのヨーロッパでは頻繁にあることなのか。入りたくても入国できない人がいる。こんなとき、改めて日本のパスポートはすごいと思う。この後、彼らはどうなるのだろう。いろんなことが頭をめぐりもう寝られない。今でも忘れられない衝撃の時間だった。

夜中に一人で、まだ見ぬ土地へ向かう途中、密入国者を見た余韻で、静かに考えごとをしていたら、すっかり目が覚めた。そして通関。いつもながら日本人はからまれる。それがすごく張り詰めた気持ちを和ませてくれた。通関後、バスに戻ると人数が減っていた。出国審査前、私の隣に座っていた風呂敷の女性は?と思ったら別の席に座っていた。よかった。みんないろんな人生を背負って、いざグレート・ブリテンへ。

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